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韓日関係/主要懸案

政治・安保

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戦時作戦統制権の返還問題に対する理解

DATE
2006-09-04

戦時作戦統制権の返還問題に対する理解

 

2006 8 

 

目  次

1. 戦時作戦統制権とは?

2. 作戦統制権はどのように委譲され、平時作戦統制権はいつ返還されたのか?

3. 戦時作戦統制権の返還論議はどのように進められてきたのか?

4. 韓国軍に対する戦時・平時作戦統制権はどのように変化するのか?

5. 韓国軍の能力は充分か?

6. 関連する問題および今後の方向 

 

1. 戦時作戦統制権とは? 

□戦時作戦統制権の概念 

○現在、韓国軍に対する作戦統制権は戦時と平時に区分され、戦時には在韓米軍司令官を兼ねる連合司令官が行使 

作戦統制(OPCON:Operational Control)とは、特定の任務や課題の遂行のために設定された指揮関係を意味し、作戦統制権は当該部隊に対して任務を賦与し指示を行うことのできる作戦指揮の核となる権限だ。 

韓国軍に対する作戦統制権は、1950年の6.25(韓国戦争)勃発直後に戦争という特殊な状況において大韓民国の大統領から国連軍司令官に委譲され、1978年の韓米連合司令部の創設と共にあらためて連合軍司令官に委譲された。そのうち平時作戦統制権については1994年に返還されたが、戦時作戦統制権はそのままになっている状態だ。 

戦時作戦統制権は、韓米連合司令官に委譲された作戦統制権のうちの平時作戦統制権が1994年に返還される過程で生まれた概念だ。現状では、戦時となって韓米両国政府の承認の下でデフコンⅢが発令された場合、指定された韓国軍に対する作戦統制権は自動的に駐韓米軍司令官を兼ねる韓米連合司令官に移管される。

□戦時作戦統制権の“返還”と“単独行使” 

法律用語として“返還”が適切であり、これを通称の用語として使用するが、“返還”後の結果を意味する“単独行使”も併用可能 

連合司令官に委譲された状態にある戦時作戦統制権を韓国に戻すという意味で“返還”という表現が妥当であり、1994年に平時作戦統制権を戻す際にも韓米間の公式合意文書に“返還(withdrawal)”という同じ用語が使われた経緯がある。 

ただし、戦時作戦統制権行使の方式という観点から見れば、こうした“返還”が実現すれば韓国が単独で行使することになるため、“単独行使”という表現を併用することも可能だと言える。 

すなわち、“返還”が具体的な行為または措置を意味するとするなら、“単独行使”は返還という行為または措置の結果として実現する状態を意味する。

 

2. 作戦統制権はどのように委譲され、平時作戦統制権はいつ返還されたのか? 

□韓国軍の作戦統制権委譲の経緯

6.25(韓国戦争)の勃発直後に国連軍司令官に委譲された後、1978年の連合司令部創設とともに韓米連合司令官に移管 

6.25(韓国戦争)勃発直後の1950714、李承晩大統領はマッカーサー国連軍司令官に対し“韓国軍の作戦指揮権を現状の敵対状態が続く間は委譲する”という内容の書簡を送った。これに対してマッカーサーは716日、“大韓民国の陸・海・空軍の作戦指揮権委譲に関する李承晩大統領の決定を光栄に思う”という要旨の返信を送り、これにより韓国軍に対する戦時作戦統制権は国連軍司令官に委譲された。 

停戦当時、韓国軍の作戦指揮権を引き続き委譲するかどうかについての交渉が行われたが、結局、引き続き維持することで両国間の合意が成立した。これにより、1954年の韓米合意議事録(1954.11.17)で“国連軍司令部が大韓民国の防衛のための責任を負う間は大韓民国国軍を国連軍司令部の作戦統制権の下に置く”と規定し、国連軍司令官が引き続き韓国軍を指揮することができるようにした。 

1978117に韓米連合司令部(CFC)が創設され、韓国軍に対する作戦統制権は国連軍司令部から韓米連合司令部へと移管された。これに伴い、国連軍司令部が停戦協定の事実上の当事者として機能することになり、大韓民国の防衛責任は実質的に韓米連合司令部に委譲された。 

□平時作戦統制権返還の経緯 

○作戦統制権の返還は1987年の盧泰愚大統領候補の大統領選挙公約で初めて言及され、1994年の文民政府において平時作戦統制権のみを返還 

1980年代末、冷戦終息による韓半島をめぐる戦略環境の変化や韓国軍の能力伸張などを背景とし、19878月、当時の民正党の大統領候補だった盧泰愚候補は“作戦統制権の返還”を選挙公約として提示した。第6共和制政府は“民族自尊”を国政目標の一つとして提示し、“作戦統制権の早期返還”を推進し始めた。 

19903月、国防長官は国会の国防委員会で、90年代中の作戦統制権の返還を考えているとし、在韓米軍の役割が主導的役割から支援的役割へと変化する中で主権国家として作戦権問題を論議すべき時期が来たと考えると答弁した経緯がある。また合同参謀本部は、合同参謀本部の機能と位置づけを、いずれ返還される作戦統制権の行使機構へと格上げさせるための、いわゆる“8.18計画”を策定し、1990年からこれを推進し始めた。 

一方米国も1988年頃から、冷戦終息にともなう在外米軍の縮小の必要性や5.18光州民主化抗争をめぐる反米感情などに関連し、行政府や議会の要人らが作戦統制権返還の可能性に言及し始めた。19898月には、冷戦終息にともなう国防予算縮小の一環として在韓米軍縮小案を盛り込んだ“ノン・ワーナー修正案”が上下院共同法案として提出され、作戦統制権の返還を論議する政治的な雰囲気が作られた。実際にこの法案を受けて19915月に発表された“東アジア戦略構想(EASI)”においては、1990年代後半に連合司令部の解体を検討するという内容が含まれていた。 

韓米間での論議の過程で、両国の軍事当局者らは戦時と平時の作戦統制権を分離する方策を導き出した。米国は韓国内の反米感情や自国内の政治事情に鑑みて平時作戦統制権を早期に返還するという立場に立ち、19902月の韓米国防長官会談において“199111の返還”を韓国側に伝えたが、その後の協議を経て返還時期は調整された。 

199210月に開催された第24回韓米安保協議会(SCM)において韓国のチェ・セチャン国防長官と米国のチェイニー国防長官は、“遅くとも1994年末までに韓国軍部隊に対する平時作戦統制権を韓国軍に引き継ぐことで合意し、これに伴い1994121、平時作戦統制権は韓国軍に返還されることになった。 

 

3. 戦時作戦統制権の返還論議はどのように進められてきたのか? 

□戦時作戦統制権の返還論議の経過

1987年から提起され、この20年間にわたって政府と軍が多方面にわたる研究・検討を重ね、90年代の初めから準備を進めてきた

戦時作戦統制権の返還問題は、1987年に作戦統制権の返還問題が政府内で提起され始めた時にはすでに概念として含まれており、1990年と1992年には各々1995年と1997年を返還目標年度とするという国防部の検討が行われていた。また国防部は、1995年にも2000年前後に返還を進めるという計画を策定した経緯がある。 

2003年に現政権がスタートし、両国の国防長官は韓半島と北東アジアの安全保障状況を共同で総合評価するとともに韓米同盟の未来に向けたビジョンを共同で作成し、これに基づいて未来指向的な指揮関係を研究することで合意した。 

さらに2003年末、韓国合同参謀本部と連合司令部の間で韓米指揮関係に対する共同研究を推進することで合意し、20059月の安保政策構想(SPI)会議において韓国側が作戦統制権問題を米国側に公式に提案することで韓米間の論議が始まった。これを基に200510月の第37回韓米定例安保協議会(SCM)で双方は、作戦統制権に関する論議を“適切に加速化”することで意見を同じくし、本格的な協議が始まった。 

戦時作戦統制権問題は、変化した安保環境、韓国軍の能力向上などを土台としてすでに90年代初めから“90年代中盤以降の韓国軍への返還”の可能性が論議されてきた事案だ。韓国の国防に関して長きに渡って念願とされてきた事業だ。 

盧武鉉大統領も2003815光復節:独立記念日)の慶祝辞において自主国防の意志を表明したのをはじめとして、2005年から重ねてこの問題を取り上げ論じてきた。 

※盧武鉉大統領の言及内容

2003.8.15. 光復節祝辞

「それでも(韓国軍は)まだ独自の作戦遂行能力や権限を持ち得ていません。(中略)今後10年以内に韓国軍が自主国防の力量を備えるための基礎づくりをしようと思います。 そのために、情報や作戦企画能力を補強して軍備や国防体系もそれに見合うように再編していくつもりです。」 

2005.3.8. 空軍士官学校任官式

「戦時作戦権の返還に備え、独自の作戦企画能力も確保して行かなければならない。」 

2005.10.1. 国軍の日記念演説

「韓国軍が戦時作戦統制権の行使を通じて名実共に兼ね備えた自主軍隊へと生まれ変わる。」 

2006.1.25. 年頭記者会見

「今年中に韓米同盟の将来に関する共同研究と韓国軍の戦時作戦権返還問題を決着させることができるよう、米国と緊密に協議していく。」 

2006.8.15. 光復節祝辞

「戦時作戦統制権の返還は国の主権を正すことだ。国軍の統帥権に関する憲法の精神にも反する異常な状態を正すことだ。また、変化した韓国軍の位置づけにふさわしいことだ。この20年間にわたって準備し、米国と緊密に協議しながら体系的に進めてきたことだ。確固たる韓米同盟の土台の上に進められており、米国も積極的に協力している。私は韓国軍の力量を信頼している。」

 

4. 韓国軍に対する戦時・平時作戦統制権はどのように変化するのか? 

□現在の戦時・平時作戦統制権 

○平時においては韓国軍の合同参謀本部長が、戦時においては韓米連合司令官が、それぞれ韓国軍に対する作戦統制権を行使

平時における韓国軍の作戦統制は韓国合同参謀議長が、米軍に対する作戦統制は在韓米軍司令官が行使する。韓米両国は韓米安保協議会(SCM)、韓米軍事委員会(MC)および韓米連合司令部(CFC)を通じて緊密な協力体制を維持する。 

韓国軍の平時における部隊の移動、警戒任務、哨戒活動、合同戦術訓練、軍事対応態勢強化など、部隊の運営に関する権限は韓国軍合同参謀議長に帰属する。ただし、戦時・平時の円滑な作戦に向けて、平時においても情報管理、連合訓練、作戦系統作成など6項目の、いわゆる連合権限委任事項(CODA:Combined Delegated Authority)は連合司令官に帰属する。したがって、平時作戦統制権が返還されたとはいえ、その核となる要素が留保されることによって、平時においても事実上は完全な意味での作戦統制権を行使できないという批判もこれまで指摘されてきた。 

戦時になれば、すなわち防御準備態勢であるテフコンⅢの発令と共に、指定された韓国軍に対する作戦統制権は韓米連合司令官に移管される。韓米連合司令部は韓米SCM/MCの戦略指示と作戦指針を受けて作戦統制権を行使する。 

□新たな韓米軍事指揮関係の発展方向 

○韓半島の防衛において、米国が主導する形から韓国が主導する形へと変化 

既存の韓米連合防衛体制は、韓国の防衛において実質的に米軍が主導的な役割を担う形だ。1990年代初め、“韓国防衛の韓国化”の一環として韓米連合軍司令部副司令官および国連司令部停戦会談首席代表を韓国軍の将官から任命するなどの措置がとられたが、その効果は限られたものであった。 

新たな韓米間の指揮体系は、韓国が主導し米国が支援する新しい共同防衛体制だ。 すなわち、戦時・平時の区分なく韓米双方のそれぞれ別の司令部がそれぞれの軍に対する指揮権を行使し、新たに創設される協議・調停機構を通じて緊密な協力が可能なようにするというものだ。特に、情報管理・危機管理・演習および訓練・戦時作戦遂行などのあらゆる分野において緊密かつ強固な軍事同盟協力体制が維持されるよう構成する予定だ。 

新たな指揮体制の下でも韓米安保協議会(SCM)・軍事委員会(MC)といった既存の高官級安保協議体はそのまま存続し、韓米連合司令部(CFC)は新しい協議・調停機構に代替される。 

 

5. 韓国軍の能力は充分か? 

□北韓の脅威と韓国の対応能力に対する評価

○南北の国力の差や韓国軍の継続的な戦力補強および米軍の支援などを考慮するとき、十分に対応可能 

北韓は70年代中盤まで韓国軍を上回る国防費を投じてきたが、韓国が“自主国防”を進めてきたことによって70年代後半からは国防費の規模は逆転し始めた。これに伴い北韓軍の能力も相対的に低下している。韓国銀行の資料によれば、2004年現在の北韓の国内総生産はおよそ208億ドルと評価されている。 

一方韓国の場合、2006年の国防費は235億ドルで世界の10位以内、兵力規模では世界の6位以内の軍事強国へと成長した。北韓の経済力は韓国の1/33の水準であり、韓国の国防費はすでに北韓の国内総生産を上回っている。 

このような状況にあっても、一部では未だに韓国軍の能力が北韓軍に及んでおらず戦時作戦統制権を返還するのは時期尚早との主張がある。しかし、韓国軍の判断は、20072011年度中期計画の確定の際に発表したように、中期計画が完了する2011年までに対北韓抑制能力を確保できるというものだ。 

これに対して一部では、核兵器やミサイルなどの北韓の大量破壊兵器を除いた在来式の戦力だけの比較だという点を指摘して、依然として戦時作戦統制権の返還の条件は整っていないと主張する。 

しかし、北韓の大量破壊兵器の脅威に対しては戦時作戦統制権をいずれが行使するかに関係なく韓米同盟を中心とした対応が引き続き取られるだろう。米国政府と韓米連合司令官も、韓米同盟を通じて米軍の支援が堅固に維持されることを重ねて確認してきている。 

□作戦統制権返還に向けた韓国軍の計画 

○独自の作戦企画能力を備えるための組織改編や必須戦力の確保に向けた戦力増強計画を進行中 

韓半島の戦争抑止において主導的な役割を遂行するためには独自の作戦企画能力や必須戦力としての情報監視偵察(ISR)、指揮統制通信(C4I)および精密打撃(PGM)戦力の確保が必要だ。 

軍はまず、独自の作戦企画能力の補強に向けて合同参謀組織を引き続き拡大改編している。また、独自の作戦遂行のために必要な戦力も次の通り2010年を前後してほとんどが確保される。 

-情報監視偵察(ISR):多目的衛星(20062009)、空中早期警報統制機 4(20102012)など

-指揮統制・通信:軍事衛星通信体系(2010)、主要C4I戦力化(2010)

-精密打撃:イージス艦 3(20082012)F-15K級 60(20062012)など 

前記のような、韓国が確保しようとしている装備はほとんどが世界最高水準の先端戦力だ。米軍との円滑な協力体制の構築のためにはある程度米軍のレベルに近い戦力を備える必要があるからだ。ただし、評価の基準を世界最高レベルである米軍の戦力においた上で時期尚早と主張するのは適切ではない。米軍を基準にすれば世界のどの国も独自の作戦統制能力に欠けると言わざるを得ず、韓国軍の作戦統制権返還は永久に行うべきでないという主張となんらかわるところがない。 

韓国の能力が不足している代表的な分野として挙げられるのが情報戦力分野だ。また、その属性からして情報当局が細部にわたる内容を明らかにすることができないため、かなり歪められた情報がひろく知られていることが考えられる。一部では韓国軍の対米情報戦力依存率が90100%に達しているとの主張まである。ほとんどは誤った主張だ。 

韓国軍はここ十数年間にわたって持続的に情報自主化の努力を傾けてきており、その結果、ほとんどの戦略・戦術信号情報や戦術映像情報を自ら確保できる水準に到達している。戦術レーダーやその他の特殊分野の情報もほぼ100%、独自に確保している。こうした韓国の能力に基づき、韓米両国はお互いの比較優位分野に関する情報を相互補完の原則によって交換している。 

戦時作戦統制権の返還と韓米間の情報協力は別次元の問題だ。戦時作戦統制権の返還以降も、こうした相互協力の原則に従って韓米間の情報協力は持続するだろう。これに関連し、米国は必要な補完情報能力を引き続き提供することを確約している。 

□戦時作戦統制権の返還と国防予算 

○韓国軍の戦力増強は戦時作戦統制権の返還とは無関係に進められ、戦時作戦統制権の返還にかかわり別途に投じられる費用はない 

国防部は今後5年間に国防費151兆ウォンが投じられる“20072011年度国防中期計画”が完了すれば対北韓抑制が可能だと判断している。同計画には韓国軍の戦力増加に向けた事業が包括的に盛り込まれており、これは戦時作戦統制権を返還してもしなくても韓国軍の近代化と作戦能力の拡大のために推進しなければならない事業だ。 

軍の近代化事業は当面する安全保障上からの必要性を越えて北東アジアの安全保障環境の多様な変化の可能性に対する対応能力を備えることを目標として形成されなければならないからだ。したがって、戦時作戦統制権を返還するために国防費をさらに投じたり、返還しないからといって国防費を削減できるものではない。 

すなわち、戦時作戦統制権の返還は過去36年間の韓国軍の戦力増加の結果に基づいて推進されるものだ。 

 

6. 関連する問題および今後の方向 

□戦時増援戦力の維持および在韓米軍縮小・撤収の可能性 

○在韓米軍の駐留および増援戦力の支援は“韓米相互防衛条約”を根拠としているため、在韓米軍は引き続き駐留し、増援戦力は維持される 

在韓米軍の駐留および増援戦力支援の問題は基本的に“韓米相互防衛条約”を根拠としているもので、戦時作戦統制権の返還とは直接的な関係がない。有事の際の増援戦力支援に関しては、今後、両国間の合意文書に明示し対北韓抑制力と韓半島地域の安全性を確保することになる。 

在韓米軍の追加縮小問題は、現在のところ2008年まで在韓米軍25千人を維持するとした計画に何の変更もない。最近、一部マスコミが、米国側が小規模な兵力の縮小を示唆したと報道したが、これは韓米連合司令部が解体された場合に行政兵力など本部参謀人員を一部調整する可能性に言及したものにすぎず、実際の戦闘力の縮小とは関係がない。 

これに関連し、ベル在韓米軍司令官など米国の高位当局者らは、在韓米軍の追加縮小がないこと、戦時作戦統制権を行使するという韓国の立場は合理的な要求であり時期的にも適切であること、在韓米軍は韓国民が願う限り韓国に引き続き残るとことを繰り返し確認した経緯があり、これは米国防総省と在韓米軍司令部のウェブサイトにも掲載されている。したがって、戦時作戦統制権の返還が在韓米軍の追加縮小や撤収につながるという一部の主張には全く根拠がない。 

米国が2009年を目標年度として提示したのは、まず、作戦統制権の転換期間が長期化すれば安全保障態勢に問題が生じる可能性があるという点、二番目に、韓国軍の能力はすでに充分だという点、三つ目に、それでも韓国軍の能力が不足している分野については韓国軍が能力を備えるまで米軍が補完戦力を提供することによって順調な移管が可能だという点を考慮したものだ。今後、両国間で十分な協議を通じて最も望ましい日程が導き出されるだろう。 

□戦時作戦統制権の返還が平和体制の樹立に及ぼす影響 

戦時作戦統制権の返還は今後の平和体制に関する実質的な論議を進めるにあたってプラスの影響を及ぼすものと予想 

北韓はこの間、“停戦協定の署名者であり、戦時作戦統制権を保有している名実兼ね備えた韓半島の軍事的な実体である米国と交渉して平和協定を締結しなければならない”と主張してきており、これに対して韓国はこうした北韓の主張に反ばくし、今後の平和体制に関する論議および平和協定の締結にあたって韓国が主な当事者であることを明確にしてきた。 

韓国の戦時作戦統制権返還は、平和体制の主要な当事者としての韓国の位置づけに対する北韓のこうした無理な主張を抑制する効果も持つだろう。また、平和体制を論議する過程や平和協定内に含まれる南北間の軍事的信頼構築措置の実質的な論議と実効性ある執行に向けてもプラスの影響を及ぼすだろう。 

□国会の同意または国民投票の必要性 

○憲法第60条第1項が規定する事由に該当しないため、国会の同意を得る必要はない 

憲法第60条第1項によれば、“安全保障に関する条約、主権の制約に関する条約、国家や国民に重大な財政的負担を負わせる条約”の締結・批准にあたっては国会の同意を得るよう規定されている。一部ではこの規定を挙げて、戦時作戦統制権の返還は国会の同意を得る条約の形で締結されなければならないとの主張がある。さらに、国家の安全と危機に関する事項であるため国民投票が必要だとの主張もある。 

しかし、戦時作戦統制権の返還は、まず、韓米相互防衛条約に基づき在韓米軍の持続的な駐留と有事の際の増員が保障される中で、韓国軍と米軍との間の指揮関係だけを変更するものであるため、“安全保障”の重大な変化を招くとは言えず、二番目に、主権の制約ではなく、むしろ主権を回復するものと見るべきであり、三つ目に、別途の財政的な負担を負わせるものではなく、国会による別途の予算統制を受けるという点で、憲法第60条第1項のいずれの規定にも該当しないと言える。むしろ、現在の状態は大統領の国軍統帥権を規定した憲法の精神に符合しない側面がある。軍に対する作戦統制権は国軍統帥権の核となる事項だからだ。 

また憲法72条によれば、“大統領は必要と認める時には外交・国防・統一その他国家の安全と危機に関する重要な政策を国民投票に付すことができる”と規定しているが、去る80年代から進められてきた事案であり、韓米当局間で対北韓抑制力や安保態勢に支障がない範囲で推進するという確固たる原則のもとで協議を進めているので、国民投票に付す事案ではない。 

ただし、事案の重要性を鑑み、適当な時期に国会と国民に関連する事項を十分に説明し、それによって国民的コンセンサスを形成しつつ推進すべき計画であることを明らかにしておく。 

□今後の戦時作戦統制権返還協議の推進日程 

○来る10月のSCMで戦時作戦統制権の返還完了時点を含むおおよその推進日程について合意し、その後、来年の上半期中に詳細な推進計画を確定 

20063月、“指揮関係の研究のための関連約定(TOR)”を締結して以降、両国の軍事当局は戦時作戦統制権返還交渉を引き続き緊密に進めてきた。現在、韓米間には戦時作戦統制権の転換完了時点、すなわち目標年度をいつにするかについて異見が残っており、この他にもいくつかの争点がなくはないが、大部分は技術的な事項であり実務的な協議を通じて解決可能な事案だと言える。 

こうした争点が解消されれば、今年10月の韓米安保協議会(SCM)で最終ロードマップが作成されることになる予定だ。ロードマップには目標年度や概略的な推進日程が盛り込まれる。その後、韓米間履行推進団が構成され、来年の上半期中に詳細な履行計画が作成され、作戦計画の樹立・協力体系の構成などの後続措置がまとめられることになるはずだ。

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